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イチローズモルト
リミテッドエディションです!

 ちょうど数年前にこのボトルがとある世界的な品評会で最高賞を受賞したとニュースになっていた頃、私は「こりゃ手に入らなくなるかもしれん」とややプレ値で2本購入していました。 しかし、今見たところ値上がりもせず普通にネットで売られています。ややプレ値なことが多いですがそれでも当時より少し安いという、、、。そんなこんなで当時衝動買いしたこちらのボトル。そろそろ飲まなきゃと思っていました。ちょうど飲み比べしたいボトルがあるのでそれと比較しながら楽しみます。
 正式にはイチローズモルト&グレーンワールドブレンデッドウイスキーリミテッドエディションという名前ですが流石に長いので省略します。ご了承ください。


  • イチローズモルト
リミテッドエディションの概要


・種類:ウイスキー

・カテゴリー:ブレンデッドジャパニーズウイスキー(ワールドブレンデッドウイスキー)

・価格:14000円前後

・定価での入手難易度:やや高い

・アルコール度数:48度

・特徴:イチローズモルトは埼玉県秩父市にある秩父蒸溜所でつくられるウイスキーです。
 株式会社ベンチャーウイスキー肥土伊知郎氏によって創業されました。現在も肥土氏はイチローズモルトをつくりつづけ、その味わいから世界的に人気が急増しています。イチローズモルトトランプカードシリーズが超高額で落札されたことはニュースにもなっていましたね。最も権威あるウイスキー品評会とも言われるワールドウイスキーアワード(WWA)では様々な部門で5年連続最高金賞を受賞し、最近2023年にはイチローズモルトブレンデッドジャパニーズウイスキー2023というボトルがワールドベストブレンデッドウイスキーリミテッドリリース部門で6回目の最高金賞を受賞しました。

 肥土氏は実家の東亜酒造が経営困難なこともあり実家稼業を手伝っていましたが、同時にウイスキーづくりや研究にも没頭していました。というのも実家の酒蔵の中にスコットランドのウイスキー原酒や実家の酒造り工場として開設していた旧羽生蒸溜所の原酒があったのです。羽生蒸溜所の原酒を多くのバーテンダーに試飲してもらい感想を貰っていたそうです。面白い味と評価を貰ったためゴールデンホースという名で羽生のウイスキーを販売しています。
 しかし当時無名に等しい羽生蒸溜所は2000年に経営不振で一度閉鎖。その際保管されていたの貴重な原酒は笹の川酒造の協力により保管され、それらからイチローズモルトを製造します。2004年に株式会社ベンチャーウイスキーを立ち上げ、2005年に最初のイチローズモルトを発売。またまた多くのバーを巡り売り込みを続けたそうです。
 肥土氏はベンリアック蒸溜所をはじめとしたスコットランドの様々な蒸溜所を巡りウイスキーづくりや操業を学び、かの伝説的な軽井沢蒸溜所でも1ヶ月だけ稼働再開をさせつくり方を学んだそうです。
 2008年にベンチャーウイスキーの拠点となる秩父蒸溜所の稼働が開始。2016年に海外のウイスキー原酒を使いゴールデンホースを再販。2019年には羽生蒸溜所を再建しモルトウイスキーの製造を再開しました。執念の復活劇ですね。でもあんまり歴史等について書くと色々ツッコミが入りそうな部門でもあるのでここまでにしておきます。

 寒暖差が激しい気候の秩父市で製造、熟成をします。仕込み水はミネラル分量に注目し選ばれた大血川の渓谷水です。
 原料である大麦はスコットランド産のものを使用しますが最近は埼玉県産の大麦も一部使用しているそうです。また、その一部にフロアモルティング(床に大麦を広げて発芽の調整を行う作業。モンキーショルダーの回を参照)を行っているとのこと。
 発酵は樽材で有名なミズナラの木でできた桶を使っています。熟成樽には主にバーボン樽を使用。他にもワイン系の様々な樽や他の蒸留酒を熟成させた樽が多くあり、それらを使い多種多様な原酒を用意しています。ちなみに珍しいことに蒸溜所内に樽製作場があります。

 過去にエントリーモデルなど他の「イチローズモルト」をご紹介していますのでぜひご覧ください。

 今回ご紹介するリミテッドエディションはホワイトラベルの上位ラインナップ2008年の稼働時から熟成させてきた秩父蒸溜所のモルト原酒をキーモルトとして使用。他ウイスキー大国の世界5カ国から取り寄せた9箇所の蒸溜所モルト原酒、2箇所の蒸溜所のグレーン原酒をブレンドさせています。
 ノンチルフィルタード(冷却濾過を行わない)で無着色です。
 以下、裏ラベルの文章です。

 「2008年に製造を開始した秩父蒸溜所では、伝統的なダンネージスタイルの貯蔵庫でウイスキーの熟成を行なっています。それらの中からブレンドで力を発揮する原酒をキーモルトとしてバランスよくブレンドしました。熟したプラムのまろやかな酸味、それを包む甘味は軽やかな綿菓子のようで、熟成を重ねたグレーン原酒の心地よい樽香にのって、口の中でいつまでも続きます。本品は、原酒そのままの個性を楽しんでいただくために、ノンチルフィルター、ナチュラルカラーでボトリングしました。原酒との対話で生まれた複雑なフレーバーを、是非おたのしみください。」

 ​ちなみにダンネージスタイルとは最高3段までしか樽を積み重ねず、石造りの一階建て倉庫で自然の空調のもと管理熟成する方法で、スコッチの伝統的な方式でもあります。

 このボトルの箱なのですが、、、
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 どこぞのスーパーカーのガローウィングみたいな開き方なんですよね。しまう時毎回どうするんだっけと一瞬戸惑います。


  • イチローズモルト
リミテッドエディション 実飲
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 巷では青葉とも呼ばれるこのボトル。オシャレっすねぇ。何かカフェとかに置いてあってもしっくりきそう、、。

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 液色を比較してみました。左からリミテッドエディションホワイトラベルクラシカルエディションです。あまりこの写真では色の違いが分かりませんが、、、

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 こうすると少し分かりやすくなりましたかね、残量の差もありますがリミテッドエディションの方がホワイトラベルと比較すると濃い色をしています。クラシカルエディションと色合いは近いです。

  • イチローズモルト
リミテッドエディションの香り
​ 濃ゆい甘さと樽香がすぐにきますね。蜜りんご、重く甘い煙。一呼吸おくと様々な香りが移ろいますね、バナナやカスタードのような香りまでしてきます。

  • イチローズモルト
リミテッドエディションの味
 香りで感じた甘いりんごの味と樽の香り。特に余韻までりんごの甘さは心地よく続きます。バニラ、やや焼いたような香ばしさ、スパイシーな痺れ。
 加水をすると香りは華やかに開きますが味は酸味や渋味が出てくる事もあるので調整が難しいです。ホワイトラベルと比較するとモルティーさや深い樽香が格段に強く感じますね。ちなみにクラシカルエディションとも飲み比べましたがこれは予想外に全然違う味わい!クラシカルの方がよりスモーキーさを押し出したような味わいなのでどれが自分にあったイチローズモルトかを考えるのも楽しいですね。


  • イチローズモルト リミテッドハイボール
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 ガブっと食いついてみましたが、徐々に「これは、、?美味しいかもしれん、、。」と思う複雑さを感じるハイボールでした。生姜のような味わいとストレートからも感じていたフルーティーと樽香がハイボールにしても健在。これはホワイトラベルとの差別化もかなりできているボトルだなあと改めて感じます。


  • イチローズモルト
リミテッドエディションの感想


香り:★★★★★☆

味:★★★★☆☆

ハイボール:★★★★★☆

面白さ:★★★★☆☆

デザイン:★★★★☆☆

コスパ:★★★☆☆☆

宅飲みオススメ度:やや高い

総合点:★★★★★☆

カイ太郎コメント:ワンランク上の味わいを持ちつつギリ手の届くイチローズモルト。

  • 感想
 一口目より二口目、、、と楽しさをだんだん噛み締めていくようなウイスキーでした。やはりこの甘さ!良いウイスキーでないと他のお酒では中々感じられない味ですよね〜とつくづく思いました。
 個人的にはストレートかハイボールが好きでしたが比較的どんな飲み方にも応えてくれるウイスキーだと思います。
 価格や入手難易度が少し難点ですがイチローズモルトって他上位ラインナップはほんと手に入らないんですよね。そう考えるとこのリミテッドエディションは私のような若造ウイスキーファンにとってイチローズモルトを旅できる数少ないボトルの一つ、私にとって最後の砦のように思っているイチローズモルトです。本当は他のラインナップも飲んでみたいんですけどね、、。
 どんな場面も心地よく楽しめるであろう本品は自分で色々試し飲みして研究するのももちろんのこと。来客時のおもてなしやプレゼントにも文句のない一本ですね。




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