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シングルモルト宮城峡
完熟バナナ、桃の缶詰シロップなど甘い甘い。と思っていたらラズベリーがよぎる甘酸っぱさ、、、と思ったらまた甘くなり、、、。何だか甘さと甘さが甘酸っぱさをサンドしているようなイメージです。やや古樽の深みも感じるため中々に高級感を覚えるハイボールとなりました。
※ご指摘やご意見などがございましたらお気軽にコメントいただけると助かります。
シングルモルト宮城峡
アロマティックイーストです!
私事ですが、先日誕生日だったんですよ〜...。あっ、ありがとうございます。茶番はさておき、何かお祝いに特別なボトルを開けたいなと思いこちらをチョイスしました。2023年のウイスキーフェスで試飲した時美味しかったからこっそりボトルを入手していました。
その他、このボトルには色々気になること確かめたいこと(後述)があるので、いざ抜栓!
- シングルモルト宮城峡
アロマティックイーストの概要
・種類:ウイスキー
・カテゴリー:シングルモルト ジャパニーズウイスキー
・価格:22000円前後
・定価での入手難易度:かなり高
・アルコール度数:47度
・概要:シングルモルト宮城峡は宮城県仙台市にあるニッカウヰスキー仙台工場の宮城峡蒸溜所でつくられるシングルモルトウイスキーです。その中でもアロマティックイーストは2022年に数量限定発売されたものです。
宮城峡蒸溜所はニッカウヰスキー余市蒸溜所に次ぐ第2のウイスキーづくりの拠点として1969年に開設しました。余市とはまた違う華やかな味わいが特徴で、竹鶴氏一行は新しい味わいのウイスキーづくりに相応しい土地として広瀬川と新川(新川川)の合流する場所を選びました。その時、ブラックニッカを川の水を使用した水割りで飲んで「ここに決めた!」となったそうです。ちなみに偶然にもその川の名前が新川(ニッカワ)なんですよね。当時、竹鶴氏もこれには驚いたそうです。
余市蒸溜所とは製造環境の他に蒸留器の形の違いもポイントで、余市は真っ直ぐ伸びるストレート型に対し、宮城峡は膨らみのある曲線的なバルジ型のポットスチルで蒸留しています。
また宮城峡蒸溜所にはグレーンウイスキーをつくるための巨大なカフェ式蒸留器というものがあり、ニッカのブレンデッドウイスキーのまとめ役であるカフェグレーンウイスキーを生産しています。
その他多くの特徴がありますが、過去に「宮城峡」はいくつかご紹介していますのでぜひご参考までに。
今回ご紹介するシングルモルト宮城峡のアロマティックイーストはニッカディスカバリーシリーズの第2弾として2022年、数量限定で登場しました。このディスカバリーシリーズとはウイスキーの多様性、奥深さ、意外性を「発見する」シリーズとして2021年に始動しました。ちなみに第1弾は余市ノンピートと宮城峡ピーテッドというそれぞれのイメージと真逆なキャラクターを与えた面白いボトルたちでした。
第2弾のアロマティックイーストは余市、宮城峡は各20000本ずつ発売されました。今回はウイスキーをつくる上で使用する酵母に着目したボトルです。
ウイスキーをつくる上で発酵という過程があります。大麦麦芽を粉砕して温水につけ、酵素の力ででんぷんを糖分へと変えます。これを濾過すると麦汁という液体ができます。この麦汁にとある酵母を加えると糖がアルコールと炭酸ガスへ分解されアルコール度数7度前後のビールのような液体ができます。これをもろみと呼びます。このもろみをつくる際に酵母が大活躍するのですね。日本酒づくりなどで酵母は大変注目されますが、ウイスキーでは中々テーマに挙がらないイメージがあります。
ニッカウヰスキーでは輸入酵母の他、ビール酵母やパン酵母、自然酵母や独自開発したものなど多くの酵母を保有しています。この酵母菌の違いがウイスキーの味わいを大きく変えるということです。
宮城峡アロマティックイーストはそんな発酵過程に着目したボトルです。酵母の力をボトルの個性として出すために、樽の個性は控えめにしたとのことです。シェリー樽の比率は少なめに、多くをリフィル樽(古樽)で熟成しています。また、約20年前に開発部門の要請で発酵を工夫した変わり種原酒も今回使用したそうです。要請に応えて製造したものの甘ったるい香りが突出していて、個性が強すぎるという理由からお蔵入りになった原酒です。20年ぶりにその個性を発揮する時がきましたね。このような個性の強さ故に貯蔵庫の隅で保管されている原酒がニッカウヰスキーには結構あるみたいで、今後何かの機会にこのように発売されるかもしれませんね。
上記の情報は宮城峡アロマティックイーストのブレンドを担当した主席ブレンダーの渡邊健太郎氏へのインタビュー記事があったので参考にしています。(Whisky Magazine Japan 「酵母のアロマが華やぐニッカの限定シングルモルト」2022年9月23日を参照)
ボトルの裏には
「ニッカウヰスキーが有する原酒の多様性、つくり分けの歴史が生み出す奥深さに焦点を当てた数量限定品。発酵工程で酵母がつくり出す様々な香りに着目し、穏やかな樽香の中に、熟したアプリコットを思わせる深い果実香が重なり、心地よい甘い香りが豊かにあふれだすシングルモルト宮城峡が誕生しました。個性的な香りが、モルトのやわらかなコクと繊細に調和、ほどよくビターな樽の余韻が深い果実香を伴い伸びやかに続きます。宮城峡モルトの意外な個性をお楽しみください。」
と書かれています。
- シングルモルト宮城峡
アロマティックイースト 実飲
ノーマルのシングルモルト宮城峡(左)と比較してみます。液色の違いはほとんど無いですね。
- シングルモルト宮城峡
アロマティックイーストの香り
コメントであったアプリコットがほんとそのまま感じられます。やや煮詰めたジャム感。白桃ヨーグルト、りんご、微かにグレープフルーツのジューシー。
- シングルモルト宮城峡
アロマティックイーストの味
やはりアプリコットや桃ヨーグルトなんですよね。先程香りで感じた果物たちも味わいで感じられますが、少々パイナップルのような甘酸っぱさ、オレンジの甘苦さもあります。優しげな程よい樽香。ただしこれは通常の宮城峡に比べて非常にソフトで、ビターさも通常の宮城峡よりかなり抑えられ、フルーティーにとことん専念できる味ですね。
加水を少しするととても良く華開きますね。甘やかな感じがブワッと漂い、お味もまろやかにまとまって飲みやすさでいうとピカイチです。
ロックもなかなか素敵でトロピカルな甘さと余韻がメインとなり、これまたオススメです。
- 宮城峡アロマティックイーストハイボール
完熟バナナ、桃の缶詰シロップなど甘い甘い。と思っていたらラズベリーがよぎる甘酸っぱさ、、、と思ったらまた甘くなり、、、。何だか甘さと甘さが甘酸っぱさをサンドしているようなイメージです。やや古樽の深みも感じるため中々に高級感を覚えるハイボールとなりました。
- シングルモルト宮城峡
アロマティックイーストの感想
香り:★★★★★★
味:★★★★★☆
ハイボール:★★★★☆☆
面白さ:★★★★★☆
デザイン:★★★★☆☆
コスパ:★★★☆☆☆
宅飲みオススメ度:普通
総合点:★★★★★☆
カイ太郎コメント:真の宮城峡とも言うべき甘美なウイスキー。
- 感想
個人的に!個人的にですが、このボトルは通常のシングルモルト宮城峡に感じていたネガティブな要素が、宮城峡の持つフルーティーさというポジティブな要素に上書きされたようなイメージで、このボトルこそ長熟系とはまた違うベクトルでの完成された宮城峡なのではというベタ褒めな感想を持ちました。
酵母に着目したボトルですが、実際どの酵母がこういう味になって〜という飲み比べはしたことがないので、一概に酵母が違うから美味いんだ!と断言することはできません。しかし、そこまで強い樽感はなくともこの深い甘さを感じられるのは中々面白く、少なくとも酵母の力を何となく感じるくらいはできました。通常のシングルモルト宮城峡と飲み比べるとそれがさらに分かりやすいのでオススメです。
ロック、そして加水は特にオススメです。面白いほど開きます。
限定品のためなかなか手に入らないボトルですが、シングル30mlを1杯だけ飲むのでは中々満足できないような気もします。個人的には2杯、3杯と飲みたくなるウイスキーでした。
、、、と、お気に入りの宮城峡見つけたなぁとか思っていたら、とあるレビューを見つけました。同じく酵母に着目してつくられた宮城峡蒸溜所限定シリーズである宮城峡フルーティー&リッチにそっくりとの意見で、コメント欄にも興味深い感想からネガティブなもの含め色々ありました。
ウイスキーの感想は本当に人それぞれだとは思っていますが、ここまでお気に入りです!オススメです!と書いておいて実際はフルーティー&リッチと大して変わらないじゃんとなるのもイヤなのです。宮城峡アロマティックイーストは本当にそっくりさんがいるのか、飲む価値的にはいかがなものなのか。私はそれを確かめるべく、、、
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